甲状腺がん「被曝の影響、否定出来ず」〜疫学専門家インタビュー


福島県民管理調査の検討チームは先月13日、2011年(平成23年)に甲状腺検査をおこなった3万8114人のうち、3人の子どもが甲状腺がんであることを発表した。このほか、細胞診断で、7人が悪性または悪性疑いであることも明らかにした。もともと100万人に1人か2人程度とされている子どもの甲状腺がん。疫学的に見ると、この数値は、いったいどんな意味を持つのか? 疫学を専門とし、『医学と仮説―原因と結果の科学を考える』の著者でもある岡山大学大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授に話を聞いた。
  
甲状腺がん3人を疫学的にどうみるか?
 
津田教授によると、比較的稀な病気が、ある一定のエリアや時間に3例集積すると、「多発」とするのが、疫学の世界では常識だという。今回のケースは、わずか38,000人の調査で、1年の間に3例もの甲状腺がんが発生しており、「多発」と言わざるを得ないと断言する。
 
ただ、福島県立医科大の説明によると、甲状腺エコーの精度が優れているために、事故前から微小ながんが発見されただけだと説明している。これについて津田教授は、「大人と子どもを比較できない」とした上で、今回の3例は既に手術を終えいるうえ、大きさは平均15ミリと発表されていることから、微小がんなどと言い出すのはおかしいと批判。また、発生率ではなく、有病率で見るべきとする意見があることについても、疫学者の間では、今回のケースは発生率で計算すべきという意見が有力だとしながらも、有病期間を7年や10年といった長い期間に設定して算出した有病率でも、なお「多発」であると分析した。

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